2010年3月24日水曜日

家出ランキング

ジョニー・デップ出演の映画『アリス・イン・ワンダーランド』が、週末デビューの新作3本を押しのけて3週連続全米ナンバーワンの王座を手にした。

 週末に『アリス・イン・ワンダーランド』がたたき出した興行収入は3,419万ドル(約30億7,710万円)。封切り後17日間で約2億6,540万ドル(約238億8,600万円)の興行収入を上げており、3月20日にはティム・バートン監督の1989年の映画『バットマン』を超え、バートン監督作品の中で興行収入が一番多い作品となった。また『アリス・イン・ワンダーランド』は、過去3月の興行収入において歴代ナンバーワンだった2007年ジェラルド・バトラー主演の映画『300 <スリーハンドレッド>』を抜いて新チャンピオンにもなっている。(1ドル90円計算)

 さて、大人の映画ファンにはあまりなじみがないものの、小・中学生の間では大人気のシリーズ本を映画化した映画『ダイアリー・オブ・ウィンピー・キッド』(原題)が、2,213万ドル(約19億9,170万円)の成績を収めて今週の第2位を飾った。3,077館・推定3,400スクリーンで封切られたこの作品は、アニメでもなくファンタジーでもない子ども用映画のカテゴリーでは最高の興行収入を上げた作品となっている。

 配給会社の20 世紀フォックスは人気の原作本のファンである子どもの客足を引くために、本とその映画化作品を結びつけるための宣伝作品を行った。映画のポスターも、本の表紙になっている絵をそのまま使用するなど、子どものファンに自分の好きな本が映画化されたことがひと目でわかるようなPR作戦を展開。それが功を奏し、原作を愛読している若年層がそのまま映画館に足を運んでくれたようで週末同作品を観に来ていた58パーセントの観客は25歳以下だったという統計が発表されている。

 第3位は、ジェニファー・アニストンとジェラルド・バトラー初共演のラブコメ映画『バウンティー・ハンター』で2,069万ドル(約18億6,210万円)の売り上げ。ランキングで必ずそこそこはいくラブコメだが、人気俳優のジェニファーとジェラルドを迎えたこの作品も例外に漏れず手堅くトップ3に滑り込んだ。

 第4位は、ジュード・ロウが血みどろの大活躍をするアクション映画『レポ・メン』(原題)で613万ドル(約5億5,170万円)。2,700ものスクリーンで上映されているにもかかわらず少々残念な結果となっており、過去の同種ジャンル作品であるクライヴ・オーウェン主演の映画『トゥモロー・ワールド』の1,020万ドル(約9億1,800万円)、ユアン・マクレガー主演の映画『アイランド』の 1,240万ドル(約11億1,600万円)、映画『ペイチェック 消された記憶』の1,350万ドル(約12億1,500万円)などと比べると格段に劣っている。

 第5位は、第2位から転落した映画『グリーン・ゾーン』で611万ドル(約5億4,990万円)の収入で57パーセントの降下率。封切り後10日間の興行収入は、スタジオ側の予想を大きく下回る2,490万ドル(約22億4,100万円)となっており、関係者を落胆させている。

 最後に次回ランキングで上位に食い込みそうな作品 2本をご紹介。1本目はドリームワークス期待の3D映画『ヒックとドラゴン』。最近ノリにノッている3D作品であるということと、ボックスオフィスの人気ジャンルであるファミリー映画であるということで、上位入りが予想される。

 2本目は久々ジョン・キューザックの主演作品で、映画『ホット・タブ・タイム・マシン』(原題)。30代後半になった男4人がビールなどを飲みながら庭のジャクジーに漬かって昔話に花を咲かせていると、いきなりタイムトリップして4人が1980年代に行ってしまうという映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のハチャメチャ版といえそうなコメディー作品である。予告を観るとかなり面白そうで、お笑いの大御所チェヴィー・チェイスが修理屋さんの役で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマイケル・J・フォックスのパパを演じたクリスピン・グローヴァーが出演しているのも話題となっている。

2010年3月12日金曜日

家出は2度目。

映画『おとうと』の山田洋次監督、W主演の吉永小百合と落語家の笑福亭鶴瓶が3月11日(木)、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われた同協会主催の記者会見に出席。外国人ならではの視点から質問が飛ぶ中、鶴瓶が外国人記者と軽妙なやりとりを繰り広げた。
同作が先月開催された第60回ベルリン国際映画祭でクロージング上映され、山田監督が特別功労賞を受賞したことを受けて同協会側からオファーされたもの。同所での会見は、鶴瓶さんは初めて、山田監督と吉永さんは2度目。

外国人記者ら約150人の盛大な拍手に迎えられて通訳の男性、司会を務めるイタリア人テレビ局記者、山田監督ら5人で登壇した鶴瓶さんは「本当にこんなことになるとは思っていなかったです。変な夢を見ているみたい」と緊張気味。冒頭はワンセンテンスを話したところで区切り、通訳される流れにも慣れない様子だったが「待った待った」、「どうぞ」、「以上」などと通訳の男性とコミュニケーションを取り、持ち前のトボけた持ち味を徐々に発揮。

スウェーデン人の男性カメラマンは、日本では観客が、著名人に距離を感じて崇拝する傾向があるように思われるが? と質問。鶴瓶さんは「この前、道を歩いていたらオバちゃんが千円札を持って近づいてきて『くずしてくれへん?』って。『500円玉入っていいかい?』と答えました。僕の場合、ものすごい近いですね」とエピソードを明かし記者陣を笑わせる一方、「こっちの気持ちの持ちようだと思う。いかに普通であるかが大事。僕は普段と変わらないし、50年も(女優を)やられている吉永さんも全然普通でした」と真摯に話した。

フランスの男性記者から、山田監督の作品には希望のメッセージが込められているように感じられるがいまの社会へはどんな思いが? と質問が飛ぶと、山田監督が「希望を持ちたいという願いを持って映画を作ることが大事」と回答。鶴瓶さんは「映画の影響力のすごさを感じています。この映画を観て、日本の演歌歌手で吉幾三という人が『姉ちゃんへ』という歌を作ってくれました。仕事じゃなく僕個人に作ってくれたんですけど、いまからかけます」と言って音源を初披露。1番が終わったところでスタッフに合図して「3番まであるので」とストップさせると、「3番がいいんですよ」とニヤリ。また記者陣を爆笑させた。

締めで日本のTVディレクターから、同所での会見を初体験した感想を求められ、「ベリーベリーハッピー!」。本作や主演した西川美和監督の『ディア・ドクター』など出演作が国際的評価を得ていることを踏まえハリウッド進出の意気込みを聞かれると、「ことわざに『満つれば欠ける世の習い』とあるように、調子に乗ったらあかん、てウチのおばあちゃんがよく言ってましたわ」とその気ナシ。司会のイタリア人記者は「この会見中に、鶴瓶さんには今度、ここで落語をやっていただける約束を取り付けました」と明かし、鶴瓶さんを抱擁。いたく気にいった様子だった。